13章 リナルドとマルフィーザの転向
タタール軍は総崩れとなり、混乱のさなかにあった。
ガラフロン王は敵軍の野営地に入り込むと、そこに拘留されていたアストルフォたち囚人を解放する。
アストルフォはほとんどアンジェリカに対して力を見せ付けていなかったので、敵軍に報復することを求め、武器と馬をそろえると、すぐさま戦場に舞い戻る。
幸運にも、アストルフォは自分の鎧を身につけ、さらに魔法の槍を装備することができた。
元の武器を取り戻した彼は、すぐさまガラフロン王や友軍とともに逃げ延びるタタール軍を川辺にまで追い詰めた。
その川辺は、ちょうどリナルドとマルフィーザがいまだ交戦中のところのすぐ近くである。
このとき、マルフィーザは魔法の馬具を有していたものの、リナルドのフスベルタによって剣は真っ二つに折られていた。
一方で、リナルドの鎧は大部分が切り裂かれており、剥がれ落ちていた。
ガラフロン王は、すぐさまマルフィーザに気がついたけれども、彼女と対戦するリナルドが誰だか分からない。
だが、リナルドがラビカンに乗っている様子を目にすると、この者が息子のアルガリアを殺した男に違いない、と考えた。
こういった根拠に基づいて、ガラフロンはリナルドに立ち向かい、全力で撃ちかかる。
対決に干渉されたマルフィーザは気分を害し、指揮官にむけて武器を向けた。
フロリマールたちがやってくると、女武者の手からガラフロンを助け出す。このとき、彼らは女武者のことをタタール軍の戦士だと思いこんだ。
マルフィーザと同じくらい豪快な性格のリナルドは、かつての敵が多対一で囲まれて負けそうになっていることに我慢できず、彼女と敵対するものに向けて戦いを開始する。
ガラフロン王軍のほとんどがやってくると、マルフィーザの対戦相手は戦力を増大させてしまう。
彼女の分担がリナルドの参戦によって分割されたため、マルフィーザはなんとか襲撃を追い返すことに成功したのである。
このときまでイロルド、プラシルド、フロリドリはすこし離れたところに立っており、乙女・マルフィーザが繰り出す妙技の数々や、女主人マルフィーザの能力を観戦して心を楽しませた。
フロリドリは、真っ先にマルフィーザに攻撃を仕掛けた騎士の1人であるフロリマールの身の安全を心配し、女武者とリナルドによって散り散りになってしまった戦士のなかにフロリマールを探しに出かけた。
結局、マルフィーザらによってガラフロン軍は総崩れし、混乱状態になるとアルブラッカに戻っていった。
だが、フロリドリが無限の戦いの外で、フロリマールが安全な様子で戦いから離れた場所にいることに気がついた。
彼は数の力で圧迫したものの、結局マルフィーザによって散り散りに追い立てられていたのだ。
幸運な恋人は再会を果たし、近くの林に避難をした。
それからお互いの感情に身をゆだね、草の上で眠りについたのである。
2010/07/11