9章 ハヤブサを巡る戦い

 

2人の乙女が市場の真ん中に座ると、すべての市民が2人を見比べた。

その結果、若い男も老いた男も、グリフロンの連れてきた乙女の美しさは薔薇のように美しく、とてもではないがエレンとは比較できるものではない、と評した。

自分の連れてきた乙女がより美しいと知らしめたグリフロンは、

「リベアウス・デスコヌス卿よ。

どうやら、ハヤブサは貴方のものにならなかったようだな。」

 

リベアウスは答えた。

「いや、まだですよ。

ボクと馬に乗って試合をして、お前が勝ったならばシロハヤブサはお前のもののままだし、さらにボクの首をやろう。

でも、もしボクが勝ったなら、お前のハヤブサはボクのものだ。でも、お前の首はいらないよ!」

 

そう言うと、2人の騎士は競技場に入り、多くの人々も競技場に集まった。

2人の槍は鋭く、丈夫な槍であったが、お互いの盾に激突するとたちまち砕けてしまった。その衝突の時の音ときたら、まるで雷でも落ちたのかと思わせるほどであったという。

この光景に、観戦していた者はドラムとトランペットを鳴らして2人の武勇を称えた。

槍が砕けたため、グリフロンは言った。

「槍をもって来い、決して砕けぬような頑丈なのをな!

この騎士は若く、勇敢だ。なんとも素早い一撃だったことか。

さらに力強さときたら、アレクサンダー大王かアーサー王、でなければランスロットかパーシヴァルほどの威力があったぞ。

こやつの馬を止め、馬の尻から突き落してくれるわ!」

 

2人の騎士は、再び全速力で激突したが、その際のリベアウスの一撃はグリフロンの盾を切り裂き、破片が地面に落下した。

これまで、グリフロンと試合をして、これほどの力強さを発揮する騎士を見たことがなかった公爵、侯爵、男爵たちはこの光景を見て大笑いした。

グリフロンは正気を失い、十分な力を発揮できないようになってしまった。

 

もう一度の激突で、リベアウスはその身に攻撃を受けたのであるが、リベアウスの一撃はグリフロンと馬をまとめて倒すほどの威力があった。そのため、グリフロンの足の骨は砕け、会場にいた人々は皆、そのボキリをいう音を耳にしたのである。

こうして、グリフロンはハヤブサを失い、リベアウスは賞品としてハヤブサを獲得し、見物客達は街に帰って行った。

一方、悲しげなうめき声をあげつつ、グリフロンは盾の上に乗せられたまま城に帰ることになった。

 

シロハヤブサはグルダスという騎士の手でアーサー王のもとに運ばれるとともに、リベアウスがどのような冒険をしてこのハヤブサを獲得したかの物語が作られた。

 

2009/8/18

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