終章 無想転生
「兄さん、僕は1日、ペラム王の宮廷に泊まったことがある。
ガーロンは僕をあざけったが、僕は心にも留めなかった。
そして、ある騎士は『食事は静かに! この男は嘘つきで、貴方の名声ゆえ、貴方を嫌っていますから』と言ってくれたのだ。
だが、2度目。良からぬことを考える乙女がガーロンを探しに城門まで来て、ペラム王は聖なるモノへの情熱を失っていると言うのです。
僕はこの乙女を信じている、そしてそのものは今でも近くにいるのです」
「あの女は森に住んでいる」ベイランは言った。
「そして奴と地獄の山でいちゃついてるんだ。
奴らの人生、言葉は薄汚れていやがる。僕を騙しやがって。
僕達の王妃様は、聖母のように清らかなんだ」
「あぁ、弟よ」ベイリンは答えた。「なんと悲しい事だろう!
俺の狂気が、お前の命を破滅させ、呪詛となり、お前の人生に影を落としてきた。
そして、いま暗闇が訪れた。俺はもうお前の顔もよく見えない」
「さらばだ! 俺達はもう2度と朝を向かえる事はないだろう。
俺の最後は暗いものだなあ。来世もそうなるんだろう。
もう、お前の顔も見えなくなってしまった。
二度と俺がお前を不幸にしませんように。
さらばだ、俺の弟よ。」
ベイランは低い声で答えた。
「さよならですね、兄さん。来世で会いましょう。
僕ら2人は一緒に生まれて来て、1つの不運によって一緒に死ぬのですね。
ベイランは喋っている間に虚ろな目を閉じ、ベイリンとともに眠るように死を向かえた。
お互いの体を抱きしめ合いながら…。
the end