アーサー王の誕生、解説

== 謝辞 ==
長々とお付き合いくださりありがとうございます。
この「アーサー王の誕生」は『国王牧歌』の中で収録順は1番目、私の翻訳順だと3番目になります。
牧歌のなかでもかなり短い部類に入り、wordで約13枚弱。「ガレスとリネット」で40枚近くの和訳、という疲れる作業のあとなので、楽なのをやりたいなぁ、と思ったわけです。
ただ、難解な感じではあったかな。
無意味に抽象表現くると、頭の中では理解できても文字に引きなおせない。
つたなくはありましたが、読んでくださった方、これから読まれる方に感謝をば。

== マロリー版などと比較 ==
内容ですけど、特徴的なのは主役がアーサーでなくてレオデグランが主人公なあたりです。
これで「アーサー王の誕生」とは看板に偽りがありそうで、「アーサー王の結婚」とでもすべきででょうが、ま、アーサー王の出生の秘密にせまるものなのであながち間違いで無い、はず。

結局、迷いに迷ったレオデグランはベディヴィア、それからブリーサントの説得、さらに夢を見て娘とアーサーの結婚を承諾します。
ちなみに、私は英文サイトであらすじを確認した時、「アーサー王の夢で説得された」みたいな表現があったので、きっとアーサー王の理想とか理念に共感して承諾したんだな…、と思ったら夜に見る方の夢だったのでびっくり。
しかも、夢の内容が抽象的すぎてようわりません。
とりあえず、いい夢なのですよ。

== 翻訳上のこと ==
特に、今回も遊びはいれてません。
ただ、「The Coming of Arthur」を「アーサー王の登場」と訳している本もあったのですが、あえて「アーサー王の誕生」と訳しました。
理由は目次とかキャラ紹介のページにも書きましたが、「国王牧歌」の最後の物語、「The Passing of Aurthr」を、岩波文庫版では「pass」(出かける、あるいは逝く・死ぬ、の婉曲表現)と解した上「アーサー王の死」と訳してたからです。なら、対句にする意味でも「come」を「誕生」としちゃっても意訳のうちだろう、という判断です。

とりあえず見たまま訳しつつ、冗長なシーンを少し削るくらい。
ていうか、向こうの人は会話の途中とかで、建造物の詳細を長々と説明するシーンが入ってもウザイと感じないのだろうか?
テンポが悪くなるし、窓の形なんてだいたいでいいじゃん、とか思うよ。

さておき、「ガレスとリネット」の解説でもやったけど、かなり人名表記にテニスンが改変を加えてます。
アーサー王の姉は普通、モルゴースであるべきなのにブリーセントとかになってるし、他にもちょくちょくいじられてます。
これが、アーサー王の養父・エクター卿がアントン卿になっているとか、目で見て明らかに違うのもあれば、微妙に綴りが違っていたりとか。
たとえば、グィネヴィアの父親は「レオデグランス」とするのが一般的なのに、語末の「s」が抜けているため、どう頑張っても「レオデグラン」としか発音できない。
これは、マロリー版で対照しようもないので、適当にカナに引きなおしてあります。
英検4級じゃその程度が限界ですわ。

2009/7/20

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