第3章 オルランドと魔女ファレリーナ

 

 

オルランドがこうして乙女を口説いていると、白い婦人用馬に乗った乙女がやってきた。

彼女はオルランドに対し、危険が迫ってきていることを警告し、もうオルガンガの庭園のすぐ近くまで来ていることを伝えた。

情報に大喜びしたオルランドは、庭園に入るためにはどうしたらいいのかを質問した。

 

彼女は、充分な説明をすることを約束し、以下のごとく語った。

まず第一に、彼は冒険に出発する前の3日間、身を清めなければならない。そうすることで、庭園の門を守る竜によってむさぼり食われるのを防ぐことができるのだ。

さらに彼女は、オルランドに本を与える。この本には庭園の地図など、妖婦の居場所これに関する記述がなされている。妖婦は魔法の道具作りのためにそこに閉じこもっているのだ。

 

彼女の作っている物は魔法の物質さえも切り裂くことができる剣であり、新月の夜にのみ作業がなされる。

どうしてこのような剣を作るかといえば、西方の騎士、オルランドを殺すためである。運命の本を読んだ彼女は、オルランドが彼女の庭園を破壊するためにやってくることを知ったのである。

また、乙女は庭園に入ることができるのは日の出の時間だけであることも付け足して教えた。最後に指示を記した本を手渡すと、乙女はその場を立ち去った。

 

翌朝まで冒険を遅らせなければならないことを知ったオルランドは、横になって眠り始めた。

まだ彼のそばについていたオリジッレは、グリフォンと合流するため、この場を逃げ出すことを計画した。彼女の邪悪な計画は衝撃的なもので、すでに目的のために抜いておいた彼の剣で、オルランドを殺すことである。

だが、オリジッレが計画を実行しようとしたところ、彼女の乗っていたブリリアドロが駆け出してしまい、ドゥリンダナの剣は彼女とともに持ち去られてしまった。

 

目を覚ましたオルランドは、馬と剣が盗まれたことに気がつくと憤慨した。

だが、真実良い騎士だったので、冒険をやめてしまうことはしなかった。

彼は巨大な楡の木を引き裂いて剣の代わりにし、日が昇ると東の庭園の門へと進む。

門のところで竜を見つけたオルランドは、竜の脊髄を繰り返し殴ってこれを撲殺した。

さて、オルランドが魔法の庭園の城壁の中に入ると、背後で扉が閉まっており、閉じ込められたことに気がついた。

あたりを見まわせば、美しい泉から水が川に流れ込んでいる様子が目に入る。泉の中心には像が立っており、その額にはこう書かれていた。

 

『この川はスミレと薔薇に水をやり、

この場から魔法の城にまで流れて行く』

 

素晴らしい庭園に夢見心地になりながら花咲く川辺を進んでいくと、オルランドは城にたどり着いた。

中に入ると、白い服で、頭に金の冠をかぶった女主人が魔法の剣に自分の顔を映して見ていた。

オルランドの登場に驚いた彼女だが、逃げ去る前に武器を取り上げられてしまい、自身の長い髪をもって縛り付けられてしまった。さらにオルランドは彼女を後ろの水面に浮かべると、ここを脱出する方法を教えなければ殺す、と脅迫した。

しかし、強い決意をもったファレリーナは、この脅しを拒絶する。

脅しつけても下手に出ても、彼女は意思を変えなかったので、オルランドは彼女をブナの木に縛り付けることにした。

こうして捕虜として確保した上で、オルランドは再び質問を開始するも、彼女は庭園の門からでる方法を教えなかった。

 

2010/07/31

 

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