第2章 オルランドがグリフォン兄弟を救出すること

 

このころ、フロリマール(アルブラッカにいた、というと読者は思い出すかもしれない)は、オルランドが出発したことを耳にすると、彼を追いかけることにした。

 

一方、グリフォンとアクィラントの兄弟も同様にオルランドを追うことにした。彼らが海岸にやってくると、浜辺に城が建っている様子を目にした。この城の回廊は海に向かって開けており、そこでは乙女たちが踊っている。

このうち2人の少女は腕から鷹を飛ばしながら、兄弟に対してこの城はいかなる旅人に対してもこの場に留まらせるためのものであり、旅人はここでダンスをし、この屋根の下で夜を過ごす義務があることを説明した。

 

兄弟たちはこの申し出を受け入れて快く城を利用することにしたのだが、かように愛想よく受諾したことを後悔することになる。

やがて彼らは、ブリリアドロに乗った乙女が近づいてくるのを目にした。この乙女はオルランドから馬を盗んだ女である。

彼女はどのようにしてブリリアドロを手に入れたのか質問されると、彼女はこの馬は彼女が発見したある騎士の死体(と、言って彼女はオルランドとそっくりの特徴を説明した)が所有していた馬である、と言った。さらに、その騎士の傍らには巨人の死体も転がっていたことを説明する。

嘘の話を聞いた2人の兄弟はひどく悲しみ、もはや城で強要される饗応を楽しむ気分になれなくなってしまった。

 

さらに彼らに不幸が襲い掛かり、夜のベッドで驚愕させられることになった。

彼らはバヤールに乗ってやって来た乙女とともに、数日の間、鎖でつながれて拘束されることになってしまい、処刑されるために引きずられることになった。

だが、彼らが処刑場に引きずられていると、見知らぬ騎士がやって来るのが目に入った。

 

だが、著者はこの話をここまでとして、読者をアルブラッカでの戦争の場面に戻すことにしよう。

マルフィーザが出陣すると、アンジェリカを守る騎士のことごとくを撃破してしまう。

彼らがマルフィーザのキャンプを攻撃したさい、マルフィーザはサクリパンの攻撃を受けた。このときまでサクリパンは以前おった負傷の影響で要塞に閉じこもっていたのである。

必死の戦闘が繰り広げられたが、チェルケス人は愛馬フロンティラッテ(Frontilatte、発音は適当)の素早さと従順さにずいぶん助けられた。

激闘の途中、使者がやってくるとサクリパンに対して自身の国、チェルケスがアグリカンの息子、マンドリカルドによる侵略を受けていることを伝えた。

サクリパンとマルフィーザの間で休戦の協定が締結できないため、この情報はほんのわずかな時間、決闘を中断させる効果しかもたなかった。

 

だが、著者はこの決闘についてはここまでとして、アグラマンテ王の会議で決定されたルジェーロの捜索について語ることにしよう。

カレナ山に向かった王の使者は、旅がまったく無駄なものとなってことを報告した。

計画の遅れにいらいらしているロドモンは、自分の軍隊を率いてフランスへの侵略に出発した。

このころ、アグラマンテはルジェーロがカレナ山にいることを確信していた。ルッジェーロはここにある庭園に閉じこもっているが、魔法で姿が見えなくなっているのだ。この魔力を打ち消せるアンジェリカの指輪を入手することが、この計画の成功につながる、とアグラマンテは考えた。

 

アグラマンテ王は、彼のためにアンジェリカの指輪を手に入れた者ならば誰であっても褒美に一国の王にすることを約束した。ブルネロという名のドワーフの泥棒は、自信満々にこの盗みを実行することにした。

 

このころ、乙女にブリリアドロを盗まれたオルランドは、とぼとぼと徒歩で移動していた。

ある日、オルランドは自分の馬を盗み去った乙女が、武装している男たちに護衛されているところを目にした。しかもその集団は2人の騎士を捕虜として率いているが、オルランドはすぐにその騎士がグリフォンとアクィラントであることに気がついた。

 

見たところ、この護衛たちは彼らをオルガンガの庭園の蛇の餌として運搬しているようである。

すぐさま護衛たちを蹴散らしたオルランドは、囚人たちを自由にした。

 

オルランドは自分が受けた苦しみをほとんど忘れており、ほとんど乙女の顔を見なかった。

すでにグリフォンは乙女と相思相愛になっており、グリフォンはほとんど彼女の上品さに魅了されていた。

この様子を見ていたオルランドは、なにかあるように見せかけて兄弟を追い払い、乙女を自分のもとにとどめ置いた。

そして彼女を草地の上に座らせると、できるだけ礼儀正しく求愛を始めた。

 

 

2010/07/31

 

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