第14章 悪魔を退けるロドモンとフェッラウの活躍

 

 

ここで著者はアフリカのカレナ山のふもとで馬上槍試合を開催しているアグラマンテについて語らなければならない。

殺傷能力のない武器だけを使え、という自分の命令に反して相手を殺してしまった騎士がいることを耳にしたアグラマンテは、殺人の原因はブルネロにあると考えた。というのも、ルッジェーロはブルネロの武器と馬を使っていたからである。そこで殺人の報いとして、彼はブルネロを杭に縛り首にするように命令した。

 

自らの行為のために危険に陥ったブルネロであるが、彼への危機がルッジェーロを隠れ家から引っ張り出すことになった。

ルッジェーロは処刑に立ち会った兵士らを蹴散らすと、ブルネロを助け出してからアグラマンテの前にやってくると、これまでの経緯を説明した。

 

ルッジェーロの登場に歓喜したアグラマンテは、若者の振る舞いに意義を唱えることなどはできず、殺されてしまった騎士のことは許してしまうことにした。それからルッジェーロを騎士に叙任して、アグラマンテに仕える王や諸侯がキリスト教国への侵攻のために軍を集めているビゼルト(北アフリカチェニジアの県)にルッジェーロを送り込んだ。

 

大騒ぎをしていると、ロドモンの艦隊が帰還した旨を伝える使者が帰ってきた。ロドモン軍は捕虜としてデンマークのドゥトンなどを連れて帰ってきた。

ところで、これまで彼らの指揮官であるロドモンについて説明をしてこなかった。

 

我々は、ロドモンがドラリーチェを巡ってフェッラウを戦っている場面まで、彼について説明済みである。

それから、2人の戦いはスペイン王マルシウスの使者がやってきたことによって中断された。使者が言うには、ガヌロンの扇動で、モントーバンへの包囲作戦がされているのだという。

この報告を聞いた戦士たちは和解をすると、包囲作戦に参加するために馬に乗って出発した。

 

彼らは道中で、モントーバンのエイモンの公の息子、ヴィヴィアンとマラジジに出会うことになった。

彼らは援軍を求めるシャルルマーニュのため、パリを目指しているところだったである。マラジジはヴィヴィアンとともに森の中に入ると、魔法の儀式をしてロドモンとフェッラウが近づいてきていることを知った。

彼らを妨害するため、マラジジは悪魔たちを召還して騎士のように武装させた。そのうえで悪魔たちを2つの組に分け、片方を自分が、もう片方をヴィヴィアンに指揮させた。

以上のことを済ませると、キリスト教の騎士たちは対戦相手に向かって攻撃を仕掛けた。

だが異教徒たちが強すぎたため、マラジジとヴィヴィアンは捕虜にされてしまい、召還した悪魔たちはうなり声をあげて地獄に戻されてしまった。

 

ここで、著者は引用をしてみよう。

――愚かな汚点と見えるかもしれないが、

――私はこの攻撃を良きものだと考える。

――私の最大の願いというのは、

――悪魔を地獄に戻すことができる魔法使いと知り合うことだ。

――私が目にしたとおり、悪魔に色を付けるなら

――汚らわしく、そして黒が相応しい。

――さらに彼の絵は釘とはかけ離れていて、

――角や蹄、縦横に尻尾がはえていた。

 

物語に話をもどすと、ロドモンとフェッラウはモントーバンの手前にあるスペインの野営地に到着した。

スペイン軍はもうじきシャルルマーニュ軍の攻撃を受ける直前であった。

両陣営にも優れた働きを見せる者がいたけれど、もっとも華々しかったのは、ロドモンとフロリマールの対決である。だが、ここで著者はこの決戦を打ち切って、この決戦までにフロリマールに何があったかを語らねばならない。

 

2010/09/02

 

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