18章 オルランドとリナルドの決戦

 

 

 乙女と同行するオルランドは、ある橋にたどりついた。この橋には武装した騎士がおり、オルランドが連れている乙女は自分の恋人だと主張した。

 この騎士がオードロであることに気づくと、オルランドは喜んで乙女を差し出し、アルブラッカへの旅を続けた。

 

 アルブラッカではリナルドとマルフィーザと、連合軍との戦いがまだ続いていた。連合軍はグリフォンとアクィラント、その他テュッフラディノを守ることを誓ったものたちで構成されている。

 リナルドは敵軍より優勢であり、まだ生存していたテュッフラディノは砦に逃げ込んでいた。

 交戦は一時中断され、一騎打ちも翌日まで中止された。翌日になれば、テュッフラディノは再び困難に直面することになるのだ。

 

 この休戦期間、2つの重大な出来事が起こった。

 アストルフォは、もともとアストルフォはアグリカンの囚人になっていたけれど、アンジェリカをともにアルブラッカにやってきたとき、チュッフラディノを守ることを誓っていたのだ。だが、グリフォンからリナルドが陣営を変え、敵側に回ったことを聞かされると、従兄弟のいる包囲軍側に鞍替えした。

 そして、リナルドが抜けた損失による包囲軍とのバランスを取るためにオルランドはアルブラッカに到着すると、アンジェリカは両手を広げて彼を歓迎した。

 翌日になると、アストルフォを加えた包囲軍側と、オルランドを加えた守備側の戦いが再開された。

 

 両陣営からオルランドとリナルドが選び出されると、リナルドはオルランドが裏切り者を守っていることについて激しく非難し、またオルランドもリナルドが強盗であり、邪悪なものであるとしてあざけった。

 2人は激しく戦ったが、オルランドはバヤールに乗っていたことが不利につながった。バヤールはかつての主人に向けて突進しようとしないのだ。

 リナルドは、テュッフラディノが裏切って仲間のアストルフォを落馬させるのを目にすると、すぐさま彼を追いかけた。裏切り者は逃走するものの、守護者に追いつかれて、虜にされてしまった。そして、彼は足をラビカンの尻尾にくくりつけられてしまった。

 哀れにも彼をつないだまま、ラビカンは全力で駆ける。比類なき速度を誇るラビカンであるから、テュッフラディノに対するいかなる干渉もこれを許すものではなく、彼はひきずられ、蹄で全身をバラバラにされてるまで引っ張られた。

 

 容赦なく馬を走らせながら、リナルドは王を唆した者たちを非難し、怒鳴りつけた。

 守備側に加わったフロリマールがブリリアドロをひいてきた。こうして、オルランドは自分の馬を得たので、またリナルドと戦いはじめた。だが、リナルドの方はテュッフラディノを殺したことで、すでに戦うべき理由はなくなった、と考えていた。

 

 

 夜がやってくると2人は戦いをやめ、リナルドはマルフィーザの野営地に、オルランドはアルブラッカの砦に帰還した。

 ここで、オルランドはアンジェリカから名誉と愛情をもって迎え入れられた。

 もっとも、彼女は心の中ではリナルドを思っていた。そのため、翌日の決闘に立ち会うことを宣言し、サクリパンに対して自分の身をマルフィーザから護衛するように求めた。この求めに対し、サクリパンは喜んで受け入れる。

 

 オルランドが戦場に向かう前、彼女はオルランドに対し、自分の願いとしてある冒険に出発してくれるなら、自分の身を彼のものにすることを誓いを立てた。

 こうして、彼女は自分の身を使い、翌日の戦いは最高潮に達するのだ。

 彼女はオルランドに対し、充分な名誉を得ることができることを説明した上で、すぐに冒険に出てくれるように頼み込んだ。その冒険とは、オルガンガにあるファレリーナの庭園を破壊することである。

 

 こうしてオルランドは旅に出ることになり、戦士たちは分断された。アンジェリカはリナルドに連絡を取ろうとするが、これは失敗し、彼女は絶望感ただようアルブラッカに帰還した。

 彼女は、リナルドにあてて、乙女とバヤールを送りつけた。このバヤールは、フロリマールによってブリリアドロを受け取ったオルランドが要塞に置いていったものである。

 だが、これだけの親切を受けながら、リナルドは心を動かさなかった。

 

2010/07/23

 

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