40章第1話 ディートリッヒが山の女王の救援に赴くこと

 

ベルンのディートリッヒの元に、山の王女ウィルギナルから手紙が届いた。
彼女によれば、自分の領地は巨人によって荒らされおり、また毎月美しい乙女を貢物として差し出さすように強要されているのだという。

王子はヒルデブラントをお供にし、王女を助けるために出発した。
この王女はたいそうな美女だ。そして、チロル山で巨人やドワーフを従えており、彼女に従う巨人やドワーフは決して人間を侮辱したりしないのである。
そんな彼女を攻撃していたのはジャニバス(Janibas、発音は適当)の息子にして邪悪な魔術師・オルキス(Orkise、発音は適当)である。

2人の英雄が馬に乗って森を進むと、ビブング(Bibung,発音は適当)という名のドワーフがやってきた。
このドワーフは女王が住むジェラスパント(Jeraspunt、発音は適当。どこは訳者には不明)に進む方へと王子達を先導したが、彼は夜になると姿を消してしまった。
翌朝には雪が降り、視界が悪くなったために騎士たちは別れ別れになってしまった。

やがて、ヒルデブラントは乙女の叫び声を耳にした。
声のする方に行ってみると、巨人への貢物として選ばれた美しい乙女が森の中で嘆いていたのである。
ヒルデブラントは彼女を庇護することを申し出る。
これを聞いた乙女の胸は喜びでいっぱいになった。

それからすぐ、森の中は喧騒で揺るがされた。
犬を連れた巨人が貢物を受け取るためにやって来たのである。
ヒルデブラントは剣を抜き、すぐに戦いを開始した。
やがて、ヒルデブラントは巨人オルキスを殺してしまうと、その息子のジャニバスはその場を逃げ出した。

乙女は喜んで女王の元に帰還すると、いかにして巨人オルキスが殺害されたかを報告したのである。
城は歓喜で包まれ、ウィルギナルと彼女の領民は巨人退治の英雄たちを歓迎しようと準備をはじめた。

一方、話変わってディートリッヒである。
彼もまた多くの巨人の部下と戦っていた。
戦いによる轟音は遠くまで鳴り響く。音を頼りにヒルデブラントが駆けつけたときには、すでに敵の多くは殺され、生きてる者は逃げ出していた。

合流した2人は、再び一緒にジェラスパントの城を目指して進む。
夜になると、彼らはオルキスの居城にたどり着いた。
彼らはオルキスを倒したのだから、この城を占領する権利があると考えた。
しかし、ささやかなもてなしの用意しかされていなかった。
2人が城の名かに入れるように要求するや否や、たちまち獰猛な巨人たちが2人めがけて襲いかかってきた。
重い棍棒を手に巨人は攻撃してくるのであるが、武勇優れた英雄たちにかかってはすぐに倒されてしまった。
すると、どこからか黒騎士が現れた。黒騎士が妙な声をあげると倒れていた巨人たちは立ち上がり、再び戦いをしかけてきた。
それでも巨人が斬り殺されてゆき、全ての巨人が殺され尽くすと、蛇や爬虫類が立てるようなシーッという声がディートリッヒとヒルデブラントに向けて発された。
この声で巨人が立ち上がるので、彼らは夜の間じゅう、戦い続けなければならなかった。
この戦いに黒騎士は参加せず、見ているだけである。
やがて、夜が明けると黒騎士は姿を消してしまった。

黒騎士が消えてしまったので2人が城に入ってみると、そこにはウィルギナルの侍女が3人いたので、彼女たちも解放した。

また、夜のこと、英雄たちは一晩かけて恐ろしき龍とい、これを殺した。
その龍というのは、口にレントウィントいう名の騎士をくわえていた。
それから、レントウィンはディートリッヒらとともに彼の父親の城に向かう旅に同行した。

2010/03/04

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