39章第5話 妖精王によって薔薇園が再建されること

 

嘲笑され、恥をかかされたラウリンはディートリッヒとその騎士たちに復讐をすると言う、邪悪な計画を練り始めた。
まず、彼はおじのワルベラン(Walberan、発音は適当)に密書を送り、救援に来るように嘆願した。
このおじは東方のコーカサス地方の王であり、巨人とドワーフたちを支配しており、非常に力があったからである。

また、彼はキューンヒルトに対してこっそりと同様の相談をした。
だが、逆に彼女は、ラウリンがディートリッヒと友情を結ぶのならば、彼と一緒に一緒に山の居城に戻り、再び王妃になってあげる、と約束をした。
彼女の説得は成功し、ラウリンは復讐を断念することにした。

「…そうしよう。きっと我が薔薇園には、」とラウリンは言った。
「また薔薇を植えよう。太陽輝く5月には、美しい花が咲き、芳香で包まれるだろう」

ドワーフ王はベルンの王子と一緒にワインを飲み、和平とともに、生涯をディートリッヒの友人として助力することを誓った。
その食事中、ワルベラン王からディートリッヒに対して使者がやって来た。
使者が言うには、ワルべランはベルンにある全ての武器と財宝を献上するように要求しており、さらに薔薇園を荒らしたすべての騎士の右手と左足を差し出すようによう求めていると言うのである。
王子はこの要求を拒否し、戦いの支度を始めた。

ディートリッヒとワルベランはお互いに一騎打ちを申し込み、激しい戦いを繰り広げた。
互いに数々の負傷を追いながらも、どちらかが優勢に立つことはない。
2人とも、お互いを殺してしまいそうな勢いであった。

この戦いにラウリンが馬に乗って割り込み、おじを抱きしめて和解をするるように説き伏せた。
ヒルデブラントも同様にディートリッヒを説得し、戦いは終了した。
戦闘後、彼らは一緒に酒宴の席を設けてワインを飲むと、友情を誓い合った。そのため、両者の間には長き平和が続いたのである。

キューンヒルトはラウリンとともに山城に帰っていった。
薔薇園は再建され、5月の太陽の下、美しい花が咲いた。

丘の牧夫や猟師なら、夜に月光の下でラウリンと美しいキューンヒルトがチロル山の谷にある森でダンスを踊る姿を見ることができる。
ディートライプの妹は過去の日々と同様、いまでも輝く城に住んでいる。
彼女はドワーフの女王であり、死ぬことはないのである。
薔薇園は美しい姿で存在するが、人間はこれを見ることができない。
5月の太陽の下、多くの人が薔薇園を探したけれど、全く無駄なことなのである。

2010/03/2

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