序文

気違いの予言者の歌をしよう、マーリンの物語をしよう。
栄光ある司教ロバート(注1)よ、私のペンが正しい物語になるように戒めたまえ。
知っての通り、哲学は君を神のネクタルで満たして、物事について詳しくしてきた。
哲学によって人は模範に行動できるようになるのだから、世界の指導者、教師みたいなものだ。
私の試みを気に入ってくだされば、これまで君が目にしてきた歌より優れた予言の歌を気に入ってくれるだろう。


実際の所、君の習慣、人生の証明となるもの、出生、世間的地位、そして聖職者に全ての人間は君のためにそれを探し求めている。
これら状況から、リンカーンは星の上にあるほどにこのために、幸福な状況にある。
君にふさわしい歌の中で抱きしめてもらいたい。私の口がオルフェウスやカメリヌス、マーサー、マリウス、力強き声のラビリウス(注2)の作品を歌ったとき、
ミューズ(芸術の女神)が私とともにいたものだけれど、私の作った歌がそれに匹敵するなんて到底無理な話だろう。
しかし、シスター達といつもの音楽がきたのだから、キタラを引いて歌を歌うことにしよう。

(注1)Robert de Chesneyのこと。リンカーンの4番目の僧正。1148年にアレクサンダー僧正が死去すると僧正に選任されていた。
作者のジェフリー・オブ・モンマスは『マーリンの予言』をロバートに捧げている。
(注2)オウィディウスのEpistles from Pontus (IV, xvi)で言及される人物。
正確なつづりは、Camerinus, Macer, Marius, Rabirius。発音は適当。

 

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