22章 4人の世捨て人
男が正気を取り戻すと、マーリンはこう提案した。
「君は、精神を癒してくださった神に仕えるべきだよ。なにしろ、君は理性も恥じもなくしてしまい、何年も獣みたいに荒野で生活していたんだからね。
今は理性を取り戻したし、狂っていたときみたいに荒野やら草原に隅ってわけにはいかないぜ。どうだい、俺と一緒に暮らそうじゃないか。それで、毎日を狂気を取り去ってくださった神に仕えて過ごすんだ。
これから、俺も君も、残りの人生を神に仕えると言う点では同じになるねぇ。」
すると、狂人だった男、メルデイヌス(表記Maeldinus、カタカナは適当。ミルディンと関係あるのかもしれない)はマーリンに賛成した。
「お師匠サマ、僕が断るなんてありえないよ。喜んで君と一緒に森で暮らすことにするよ。心から神に仕えて、君の働きにも感謝を捧げることにするよ。」
これを聞いてタリエシンも、
「うん、では私も参加しよう。私が世捨て人の3人目ということになるね。
私は無駄に人生を過ごしてきた。マーリンの指揮もと、健全なれる機会は、まさに今だろう。
でも、神よ、貴方はどこかへ立ち去り、都市を捨ててしまった。貴方が静かに暮らす私達の生活を妨げるべきではないでしょう。貴方は私の友人に充分な拍手を下さいました」
cap
この後、族長達は帰ってしまい、マーリン、メルディヌス、タリエシンの3人とガニエダだけがのこされた。
マーリンの妹であるガニエダも世捨て人の4人目として参加することになった。彼女は、初期は見せかけであったものの、最近、多くの人民を統治していた王が亡くなった後(ラゼルフのこと。12章参照)は清らかな生活をするようになっていたのだ。
今では、ガニエダはマーリンとともに、森での生活以上に喜ばしいものはなくなっていた。
ガニエダも、ときどきは精神レベルを上げることにより、しばしば友人達に王国の未来を予言するようになっていた。