16章 ブリタニアの過去2

 

 

 

「これらのことがおきている間、ウーゼルとアンブロシウスはブリタニア内で、ブルターニュ王の領地にいた。ウーゼル達は既に戦闘準備をととのえるとともに、戦争に相応しい能力を持っていることで知られていた。そうして、かつての祖国を奪還し、資産を食い潰すサクソンを追い払うために各地の勢力と連合した。

そして、彼らはボートで海を渡り、領土を守るためにブリタニアに到着した。ウーゼル達はウェールズでヴォーティガーン(原文に説明ないが、列王史615章だと息子であるヴォルティルメルの死後、再び王に返り咲いている)を打ち負かすと、ヴォーティガーンを塔に閉じ込めた上で、王が建てさせた塔(たぶん、列王史617章で魔法使い達に建てさせたもの。地下に竜がいて、なかなか建築できなかったエピソードで有名なヤツ)に火をつけて焼き殺した。

 

それから、剣をアングル人に対して向けるた。この戦いは長期間に御呼び、あるときは勝ち、またあるときは打ち負かされた。我らは数多くの戦いにおいて多大な努力を繰り返し、ついには神の御意思により敵を打ち任し、サクソンの武将・ヘンギストゥスを殺した。

 

Cap-

この後、聖職者と市民達の承認を受け、アンブロシウスが国王となった。そして、アンブロシウスは善き政治をしたのだが、4年後(16年とも)、医師の裏切りを受けて毒殺されてしまった。アンブロシウスのあと、その弟のウーゼルが王となったものの、初めは国を平和に保つことはできなかった。今では信用できなくなっている人々により、軍は全ての面で荒廃していた。ウーゼルは彼らと戦い、ついでに海外も征服した。すぐに戦いを終わらせると、再び平和をもたらした。

 

さらに、ウーゼルは将来において、高潔さにおいては他の誰にも劣らない人物に育つであろう息子をもうけた。この子の名前はアーサーと言い、父の死後は長期間に渡って王国を支配した。そして、アーサーは悲しみとともに、いくつもの戦争で、多くの人間を殺しまくることになるのであった。

 

この間、前述の族長は病に倒れ、イングランドから武器でハンバーなど各地を制圧した不心得ものが攻めて来た。このとき、アーサーはまだ少年に過ぎず、敵を打ち倒す力はまだ持っていなかった。

そこで、アーサーは聖職者や人民の助言を求めた後、ブルターニュのホエル王に対し、血縁があるのだから外敵との戦いを楽にするために同名を結び、自分を助けるために高速船でやって来てくれるように依頼した。これを聞きいれ、ホエル王は各方面から戦士を集め、1000人の援軍を連れて助けに来た。こうして、彼らは敵を追い払い、すさまじい大虐殺を行った。ホエル王の援助により。アーサー王は領土を取り返すための戦いの間、安心と絶大なる武力を手に入れた。そして、アーサーは善い法律により、国土に平和をもたらしたのだった。

 

Cap-

この戦いの直後、アーサー王は戦いの場を変更し、突然にスコットランド人、アイルランド人、その他好戦的な民族の土地を軍事力で征服した(以下、列王史910巻と対応)。

 

さらに海を越えてノルウェーをも征服した。そのうえ、憎まれている艦隊とともにデンマークをも訪れた。アーサー王はローマ帝国から支配権を与えられていたフロロを倒すと、ゴールを征服した。

一方でローマ帝国の方でもブリタニアと戦争を企てていた。アーサー王はローマ帝国とも戦うと、レンギスの同僚であったローマの行政長官・ヒベリウス・ルキウス(列王史だとルキウス・ヒベリオ。その他、本によって様々だけど、どのみち架空の人物)と戦った。このヒベリウス・ルキウスは議会の命を受けて支配下であったゴールから軍を集めてきたが、アーサー王に敗北して殺され、アーサー王によってローマは征服された。

 

だが、不実でおろかな管理人であったモードレッドが王国に奇襲をかけ、王妃に対し不当な関係を持った。王が海を越えて遠征している間、モードレッドに王国と王妃の安全を任せていたのである(後の物語だと、モードレッドが謀反を起す時期はこれよりかなり後、ランスロットとの戦争でフランスに遠征しているとき)。

このような忌まわしき謀反の知らせを聞いて、アーサー王は戦争に対して関心を失う遠征を取りやめ、ブリタニアに帰還した。ブリタニアに到着すると、何千もの敵が襲いかかって来たので、アーサー王は甥とともに戦い、その甥は海に沈んでしまった(たぶん、甥のガウェインが戦死した、と言いたいのだと思う)。

そこで裏切り者のモードレッドは各地からサクソン人を招集し、アーサー王と戦いはじめた。だが、モードレッドは財産と引き換えに信用を得た不名誉な人々の裏切りに合い、ついに敗北した。

 

なんとひどい戦だったのだろう、戦で息子をなくした母親たちはどれだけ嘆いたことだろう!

そうして致命傷を負っていたアーサー王は、王国を立ち去り、海へと船出した。さきほど君(タリエシン)が話したように、乙女の支配する場所(アヴァロンのことだと思う)へ行ったのだ。

 

モードレッドの2人の息子は、それぞれ自分が王国を支配することを望み、互いに争うことになった。そして、彼らはアーサーの血縁に近い者を殺した。

 

これに対し、アーサー王の甥であるコンスタンティヌス公爵がモードレッドの息子達と戦うことになった。これにより、人民と都市は荒廃した。モードレッドの息子達が悲惨な死を遂げると、コンスタンティヌスはブリタニア王位を継承した。

だが、コンスタンティヌスは親類のコナン(列王史だと、コンスタンティヌスの甥)が反乱を起したことと、失政をしたことにより平和を維持することができなかった。結局、コナンがすでに国力が低下していた王国の王位を簒奪した。だが、コナンは特に政治的能力を持っていたわけではなかった。

 

 

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