14章 ブリタニアの将来3

 

 〜これまでのあらすじ
はてしないタリエシンの長話もいよいよ終わり。

13章でアーサー王アヴァロンへ送ってきたと話すタリエシンに対し、マーリンの反論が始まる!
ちなみに、反論はうやむやのうち、ブリタニア史の講義にすり変わる…。

 

 

マーリンは答えた。

「友よ、その時以降、かつて存在したが、その誓いとやらが破られたためにことにより、もはや消滅してしまった王国はいくつあるんだい!

邪悪な運命によって、貴族達は互いに反目し合う。膨大な富が国内から出て行き、美徳は消え失せ、廃墟と化した都市が城壁を空っぽにしたために全てが台無しになった。それはサクソン人と戦乱を呼びよせるだろう、そうすれば残虐にも俺達の都市を打ち負かし、神の法と神殿を破壊するだろう。神はこれらの破壊を許しているんだよ、なぜなら俺達の愚かな罪を正すために」

 

マーリンがこのように発言すれば、すかさずタリシエンが叫んだ。

「さすれば人々は族長に対し、すぐさま船で帰ってくるように伝令を出すだろう、そうしてアーサー王が力を回復させれば敵を打ち負かすことは可能だ。そして取り戻した平和の中で都市を再建することもできるだろう」

 

「それは違う」

マーリンは反論した。

 

「人は一度、爪を海辺に定着させてしまえば、もうそこを動かないものだ。

サクソンどもが一度我らの王国、人民、都市を隷属させてしまえば、その軍事力で長期に渡る支配を維持することだろう。

だが、我ら民族から生まれる3人(『ブリタニア列王史』12巻によれば カドウァヌス、カドウァロ、カドウァラドルス)は勇敢にも抵抗し、多くの敵を殺し、ついにはサクソンどもを打ち負かすだろう。

だが、この勝利がこれ以降も続くわけではない。神の意思により、ブリトン人はまた長い間弱体化させられるでろう。それはブルターニュからコナン(ウェールズの伝承。イントロも参照)が戦車でやって来るまで、ウェールズの英雄にしてカドウァヌスが、コーンウォール人とブリタニアに堅固な連合に参加し、さらにその連合にカンバーランドとスコットランドが参加し、ブルターニュのコーンウォール人が帰ってくるまで続く。

そうして、彼らの活躍で敵を打ち負かし、ブリトンは一新され、都市は神聖なる法によって統治されるだろう。そして、王達は外国の征服を始め、また自国内の鎮圧に乗り出すだろう。」

 

これに対し、タリエシンは言った。

「今生きている人間は、その時代まで生きてはいられないだろうねえ。それに、君の話したように仲間の都市どうしでそんな激しい戦いが繰り広げられるとも思えないよ」

「ああ、その通りだ。俺も随分長生きして、色んなモノを見てきたよ。同胞たちや、混乱をもたらす蛮族達なんかをね。」

さらにマーリンはこう続けた。

 

 

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