解説

訳してて思ったんですが、これは物語というか歴史書なんですな。
どっちかといえば、マーリンの物語はオマケ。
実質的に、第12章あたりでもう、マーリンの話は終わっている。

で、メインの予言ですが、確かにマーリンによっては将来の話。
でも、作者のジェフリー・オブ・モンマスにとっては過去話
そりゃ、予言的中率も100%になろうってものです。

以下、英検4級の訳は辛かろう、ということで忙しい人向けにダイジェストにしました。

〜序章〜
6世紀、「アルスレッドの戦い」がありました。どういうわけか、和訳すると「アルスレッドの虐殺」とか訳されててなんか凄いものだったらしい
ちなみに、この戦いでマーリンがどっちのサイドについたかが資料によって違ってるらしい。
ついで言うと、「アルスレッドの戦い」は西暦575。アーサー王は5世紀後半から6世紀前半の人物。さっそくツジツマが合わないが、マーリンのモデルになったミルディン・ウィルトを無理やりアーサー王に繋ぎ合わせたものだから仕方がない。
真面目な時代考証は、『魁!男塾!』に整合性を求めるくらい無茶です。

とかく、これで知り合いが死んだせいでマーリンは発狂してしまいます。「俺は人間をやめるぞ〜」という感じに森で獣のように生きることにしました。
だが、気が狂っていてもガニエダにとってマーリンは兄。なんとか帰って来て欲しいモノです。
タイミング的に、冬と現実のキビシサに飢えていたマーリンはガニエダの派遣した使者の歌で正気を戻し、帰ってきました。
だが、どうやら引きこもりが板についていたマーリンは人ゴミが嫌い。大量の人間を見ると発狂してしまうのです。
もう、コイツ人間社会では生きられないと思う。

 

〜中盤〜
それでも、マーリンは人望があった。ラゼルフ王に至っては「俺はキミは離さない!」とばかりに鎖で拘束してしまいます。当世風にいえばヤンデレですな。
この間、マーリンは妹の不倫を暴露したり、「三重の死」を予言する。たぶん、この物語で一番面白いとこだと思う。
なんと、マーリンは1人の少年に対し、「墜落」「溺死」「吊り下げ」という3種の死因を予言するのです。
基本的に人間、1回死んだら「ハイ、それまで」です。ピッコロ大魔王篇で死に、ナメック星で死に、ブウ篇で死んだ地球人がいますが、それは例外でしょう。
これが的中してしまうあたり面白い。
どうやって死んだかは、本編読んでもらうとして、コレ、ミルディン・ウィルトが予言した、自分の死に方のパクリなんですよね。
その辺はまぁよいです。

ラゼルフが頑張って引き止めるものの、マーリンを止めることはできない…。
マーリンは嫁に再婚許可を出すと、森に帰って行きました。
っていうか、嫁への再婚の条件は「新しい男が俺の視界に入ったらコロス」というもので、

果たしてこれをもって許可がでたと言っていいのか、訳者は分からん。

 

で、嫁を捨てて森に言ったものの、星の動きから占うと嫁の再婚を知ったマーリンは人里に帰ってきます。
で、鹿に乗って里へ帰ってくると、鹿の角をちぎって投げ、男をブチ殺しました
このとき、マーリンは「horns」を投げて殺してるのですが、一度読んだときは普通に「角笛」でも投げたんだと思ってました。
あまりに理解不能な展開だったので、外国語サイト行って確認までしちゃったよ…。

こうして殺人犯になってしまったマーリン。
世が世なら、責任能力なしで無罪ででしょうが、マーリンは妹がラゼルフ王の嫁になっていたのでどうも刑事責任を追及されなかったようです。
コレ以降、まったく登場しなくなったマーリンの嫁が哀れでならん…。
で、マーリンはまた森に帰っていくのですが、今度は冬の厳しさに備え、ガニエダに
「家と食べ物を用意してね!」
と言い残していくのでした。

〜終盤〜
あと、そんな大した話はありません。
某英語サイトで『マーリンの生涯』を事前に読んでいたのですが、
「え、まだ1/4も読んでいないのに『3重の死』やんの?
あ、まだ半分しか読んでないのに終わってない?」
とビックリしたものです。

あとはタリエシンがでて来てひたすら宗教ネタを繰り広げるだけ。
私の友人にも、ひたすら宗教の話しかしないのがいますが…。

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