7章 アントレ卿の贈り物

 

こうして、2人の巨人を殺してしまうと、騎士は巨人の首を切り落とし、その首を2つとも助けた乙女にプレゼントした。

乙女は喜ぶと、なんども神と、その神が使わした騎士に対して感謝の言葉を述べた。

 

リベアウスは乙女に尋ねた。

「乙女よ、貴方の名前と、出身地を教えてくれませんか?」

 

乙女は、

「父の名前は、サー・アントレといいます。近くに住んでおりますの。

父は名誉高き伯爵で、若いころは白い騎士として強かったそうですわ。

そして、私はビオレットと呼ばれています。

以前から、城ではこの巨人達に悩まされていましたの。

昨日の夕べ、私は深く考えることもなく遊びに出かけたところ、急にこの巨人が洞穴から飛び出てきて、私を捕まえると焚き火の前まで連れて行ったのです。

それでも、この世をお作りになった神は、私を見捨てず助けを贈ってくださったというわけです。」

 

乙女が話し終えると、これ以上話すこともなく、みなは馬に乗って進み始めた。

リベアウスが伯爵であるアントレ卿のもとに到着すると、いかにして巨人と戦いこれを殺したのか、またいかにしてビオレットが悲しみと恥辱から救われたのかを説明した。

そして、リベアウスがもってきた巨人の首は、アーサー王への贈り物のように喜ばれることになった。

 

それから、宮廷ではリベアウス・デスコヌス卿への賞賛の声が上がった。

アントレ卿も喜んで、娘のビオレットをリベアウスの妻として差し出すこと、自分の死後には、リベアウスに15の城と領地を与えることを申し出た。

 

しかし、リベアウスはこれを断った。

「すいません、ボクはまだ誰とも結婚をするつもりはありません。

ボクは、美しい乙女を助けるための旅をしなければならないからです。

だから、ここはお別れしなければならないのです。」

 

こう断ったものの、アントレ卿はリベアウスの功績に報いるため、いくつかの贈り物をした。

その贈り物とは、豪華な衣服、盾、輝く鎧、戦いでは果敢に戦うことのできる馬などである。

 

2009/8/18

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