6章 巨人との戦い

3人の騎士達と分かれると、リベアウスと美しい乙女は陽気に馬に乗って進み、こうして第3日目が終わるまで進み続けた。
シナドウンの乙女を目指すリベアウスたちは西へ向けて進んだところ、森に入った。

近くに街などがなかったため、夜になると彼らは森で休むことにした。
彼らは、鋭い剣によって森の木や葉っぱを使って即席の小屋を作り、そこで夜を過ごしたのである。

夜、ドワーフは泥棒が馬を盗んでいくのではないかと不安に思い、たびたび目を覚ましたため安眠はできなかった。
そのうち、ドワーフは半マイル向こうで火が燃え盛っているのを見ると、恐怖に震えだした。

「お、起きてくださいよ。若い騎士さま、馬を連れてきてくだせえ。
どうも危険が近づいてきてるみたいでさぁ。
あっしは火が燃える音と、コゲるような匂いを感じてるんでさぁ。」

目を覚ましたリベアウスは馬を連れ、盾と槍を持つと燃え盛る火の方に向かった。
そこで彼が見たのは、2人の巨人である。
巨人はどちらも恐ろしい顔をしており、1人は吐き気のするような赤い顔。もう1人は真っ黒な顔をしている。
黒い巨人は花のような乙女を握り締めている。
また、赤い巨人の方は、串刺しになったイノシシを、明るい炎で焼いている。

捕らえられた乙女は助けを求めて叫んでいた。
「あぁ、まさか2人の鬼なんかと一緒に火を囲んで座る日が来るなんて!
誰か助けて、マリアさま、その息子のイエスさま!
辱めを受けさせないでください。」

リベアウスは叫んだ。
「聖ヤコブにかけて!
これこそは乙女を辱めから守るための冒険だ!
どんな子供だって、恐ろしい巨人2人を相手に遊ぼうとはしないだろう!」

リベアウスは馬に乗って突進し、黒い巨人の肝臓・肺・心臓に槍で攻撃を加え、この巨人を打ち負かした。
黒い巨人に捕まっていた乙女は、このような救援を与えてくれた聖母マリアに感謝しながら逃げ出した。

エレンはドワーフとともに着いていていたのだが、逃げ出した乙女を優しく迎えると、自分達の使っていた簡易の小屋のところまで避難させた。
エレンたちは、そこでリベアウス・デスコヌスが負けたりしないよう、キリストに祈りを捧げたのである。

一方、赤の巨人は我を忘れたように、猪を刺したままの串でリベアウスに打ちかかってきた。
リベアウスに対する強烈な打撃によって、彼が連れていた馬が死に、大地に倒れてしまった。
しかし、リベアウスは素早く鞍を飛び出し、燃えるような剣を抜いた。そして、獅子のような心をもって、巨人に対し攻撃を始めたのである。

巨人は、串が真っ二つに折れてしまうまで戦うと、今度は木を引き抜いて殴りかかってきた。
リベアウスの盾は巨人の攻撃で3つに砕けてしまい、彼は悲しげな声をあげた。
さらに、巨人は丸太を振りかぶったとき、リベアウスの剣が巨人の右腕を切落とした。
巨人が大地に倒れこむと、すばやくリベアウスは巨人の頭に追い討ちをかける。
こうして、2人の巨人は殺されてしまった。

2009/8/13

back/next
top

inserted by FC2 system