15章 マボンとの決戦

 

リベアウスが外を見てみれば、騎乗し、盾と槍で武装した2人の男がやってくる姿が見えた。

彼らの鎧と装飾品は、いずれもインド産の紫布で作られており、黄金の花輪を身に付けてもいる。

 

そして、そのうちの1人は広間までやってくると叫んだ。

「冒険の騎士よ、お前が誇り高き者であるならば、俺達と戦うのだ。

だが、お前が美しいレディのために勝利したいのなら、悪知恵や策略がなければいかんがね!」

 

リベアウスは、

「神よ助け給え。いざ、勝負!」

と叫ぶと、槍を敵にむけて構え、喜びとともに跳ねるように馬を走らせた。

 

リベアウスは、ひたすらに敵を倒すことだけを願いながら突進する。

そして、マボンと衝突の際、お互いの盾には力強い衝撃が走った。

この激突でマボンの槍は砕け散り、衝撃と痛みにマボンは驚愕した。

そうして、リベアウスの攻撃で鞍が壊れてしまい、マボンは落馬して地面に落ちた。

 

若い騎士がもう少しでマボンを殺してしまおうとしたとき、兜と鎖帷子で武装したジェインが、リベアウスを撃ち殺そうと馬で突撃して来た。

だが、リベアウス卿はジェインを槍で突き、彼を殺そうとした。

リベアウスの攻撃によりジェインの鎖帷子には穴が空き、ジェインはうろたえた。

だが、お互いの槍は真っ二つに折れてしまい、リベアウスとジェインは剣を抜くと、自分の強さを証明するために打ちあった。

 

こうして、2人が激しい戦いをしているうちに、マボンは立ち上ると、ジェインの方が劣勢であることに気づいた。

そこで、マボンは弟を助けるため、高貴なる騎士・リベアウス卿を殺そうと走りよってきた。

だが、リベアウスは2人と戦いながらも優勢を保った。

 

やがて、ジェインは卑怯な攻撃に出ることになる。

すなわち、ジェインはリベアウス卿の鞍の前、すなわち馬の首目掛けて攻撃を繰り出したのだ。

しかし、リベアウスは熟練の戦士である。リベアウスはジェインの足に一撃を加えた。

皮と肉と骨を切り裂いて、鎧や魔法のかけられているわけでもないため、あるいは呪文を唱えることもできず、ジェインの足は切り落とされてしまった。

あぁ、地に落ちたジェインの哀れな事と言ったら!

 

リベアウスは、マボンと戦うために馬を降り、徒歩で戦い始めた。

互いの攻撃は盾や兜にあたって火花を起す。

やがて、2人ともの剣がぶつかったとき、マボンの剣はリベアウス卿の剣を真っ二つに切り裂いてしまった。

馬を駄目にされ、さらに剣を失ったリベアウスはひどく恥じ入るとともに、怒りで胸がいっぱいになった。

そして、自分の敗北がアーサー王の名誉を損ないはしないか、と恐れを抱いた。

 

すかさずリベアウスはジェインの方に走りよると、鋭い剣を拾い上げた。

そして、追いかけてきたマボンとともに、激しい戦いが再開された。

2人の間には愛の言葉もなく、マボンはひたすらに獅子のような激しさでリベアウスを殺そうとした。

ついに、ジェインのところから拾い上げた剣でもって、リベアウスはマボンの盾を打って押し込むと、さらに盾を握ったままの右腕を切り落とした。

 

マボンは、

「騎士よ、いまのは恐ろしい一撃だった。

本当に心から、お前に降参することにしよう。

俺が捕虜にしたレディを連れて行くが良い。

その剣によって腕を切り落とされたのだから、俺は毒によって死んでしまうだろう。

お前を殺すため、剣には2本とも毒を塗っておいたからだ!」

 

リベアウスは言った。

「ボクは心から、お前の何かを受け取るつもりはない。

ボクは自分の力で勝つのだから。

ボクがお前、そのうちどちらかが死ななきゃ終わらないんだ。」

 

話し終えた2人は、互いに一撃だけ攻撃をしあった。

だがリベアウスは2人より強かったため、マボンの兜を砕き、頭を真っ二つにしてしまった。

 

こうしてマボンを殺してしまうと、リベアウスは剣を手にしたままジェインの頭を砕いてしまおうと探し回った。

だが、ジェインはすでに逃げ去っており、どこか知らない場所へ去ってしまっていた。

リベアウスは部屋を探し回ったが、結局ジェインを見つけることはできなかった。

 

「まんまと逃げられてしまうとは。

絶対に報いを受けさせてやらなければ。」

 

そう言うと、リベアウスは膝をつき、聖母マリアの庇護に感謝のお祈りをした。

 

2009/9/3

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