12章 『愛の乙女』
巨人を退治したリベアウスたちが宮殿にやってくると、そこには白い花のように美しい貴婦人がいた。
この貴婦人は、『愛の乙女』と呼ばれており、邪悪な巨人を退治したリベアウス卿に礼を言い、彼を歓迎した。
それから、『愛の乙女』はリベアウスを部屋によび、鎧を脱がせると豪華な服を着せた。
そのうえでリベアウスに対し、彼女の街と城の支配者となるように依頼した。
騎士は『愛の乙女』の願いを聞き入れると、不思議な美しさを持つ彼女に愛を投げかけた。
あぁ、この選択によってどれだけのことが起きたことか!
12ヶ月以上ものあいだ、リベアウスは『愛の乙女』のもとに留まり、シナドウンを助けるための旅をしようとしなかった。
というのも、『愛の乙女』はこれまでの5つの冒険に出てきた人物の中では最も魔法に優れていたことに原因がある。
『愛の乙女』は吟遊詩人たちが作るような、ありとあらゆる方法で音楽を作ったのである。
リベアウスが彼女の顔を見るならば、リベアウスは天にも昇る心地になり、『愛の乙女』の呪文と魔術により、リベアウスは盲目となってしまったのだった。
だが、こんな日々もついに終わりがやってきた。
エレンが城の塔にやって来ると、
「ちょっと騎士さま、貴方はアーサー王を裏切るつもりですか?
魔女にたぶらかされ、こんな不名誉な行いをするなんて!
レディ・シナドウンは長い間囚われの身、なんと哀れなことでしょう!」
エレンの言葉を聴いた途端、リベアウスは羞恥心と悲しみのため心臓が張り裂けそうになるのを感じた。
リベアウスは『愛の乙女』からそっと逃げ出すと、馬、盾、鎧を持って裏門から抜け出すと、馬に乗って出発した。
そのさい、リベアウスは、これまで執事をしていたギフレットと言う名の男を従者に連れて行くことにしたのである。
2009/8/21