終章 道化は闇に泣く
その夜、帰還したアーサー王は広間へと続く階段を登っていた。
周囲はまるで死んだように静かで、秋のジメジメした暗がりが広がっている。
階段を登るアーサー王は、王妃の部屋の明かりが消えているのに気が付いた。
――そのとき、アーサー王の足元からすすりなく声が聞こえてきた。
「誰だ?」
と、アーサー王が尋ねると、足元から泣きながらこう答える声が聞こえた。
「おいらはあなたの道化です。
でも、二度とあなたを笑わせることはできないでしょう。」
2009/10/17