19章 午後の太陽

それから、2人は円上に城を囲む2番目の川にたどり着いた。
甲冑に身を包んだ巨漢が、赤い巨馬にまたがっている。

浅瀬の向こうにいるのは、まぎれもなくヌーンディ・サンだ。
風に吹かれる千ものは名が咲き乱れ、太陽のような盾が獰猛に輝いた。
ガレスの目は染みを見つけると、男から目をそらせた。

ヌーンディ・サンは浅瀬の向こうからうなり声を上げた。
「おい兄弟、どうしたんだ? お前が番をするのはここじゃないだろう?」

乙女は浅瀬を横切ると、鋭い声で答えた。
「この男はアーサー王の宮廷の台所下働きよ。
貴方の兄弟を打ち負かし、盾を奪ったのよ」

「なんだと!」とサンは叫ぶと、兜を被り、赤くて見栄えのしない丸顔を隠した。

それから、浅瀬を泡立てて馬を疾走させ、川の中流でガレスとぶつかった。
そこはトーナメントでするような槍の技術を披露するには狭く、4度ぶつかり合うと、ガレスは力強く剣を抜いた。
新しい騎士は、不名誉を恐れるものである。
だが、サンは重々しく5度目の攻撃を加えてきた。だが、サンの馬は水流に足を滑らせたため、サンは落馬してしまい、流されて行った。

ガレスは、槍を浅瀬に伸ばし、流されていくヌーンディ・サンを引っ張り上げた。
だが、それ以上戦いが続けられなかった。川の岩にぶちあたり、骨が折れていたのである。

敵の降伏を受け入れると、ガレスはサンにアーサー王の下に行くように命じた。
「ボクが宮廷に戻ったとき、そなたを弁護してあげるから…。
さぁ、乙女よ。ボクを導いてください、貴女について行きましょう」

乙女は、素早く先に立って進み始めた。
「乙女よ。また、風向きは変わってしまったのですか?」

「違うわ。場所がここじゃなきゃ、アンタは勝利てなかったわ。
この浅瀬にはゴツゴツと岩が隆起しているわね。
だから、サンの馬がつまづいただけよ。」
 

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