15章 円卓より食卓
ガレスが救出した紳士は、言った。
「よく来てくださった。さもなければ、私は悪漢どもによって酷い目に遭わされるところだった。
私はこのあたりで害獣のような賊どもを退治しているのですが、そのために奴らには憎まれているのです。
盗賊は倒して、首に大石で一撃を加え、湖に投げ込むのが決まりです。
あぁ、貴公は命の恩人です。この森を浄化してくださった。私は貴公を尊敬いたしますぞ。
お礼に黄金を差し上げたいのですが、受け取って下さいますか?」
ガレスは鋭く返答した。
「いいえ!
私の行為はただ、陛下に忠誠からのものにすぎません。
ですから、貴方はこの乙女に宿泊場所を与えてください」
紳士は尋ねた。
「貴公はアーサー王の円卓の騎士ではないですか」
この質問には、リネットが笑い出した。
「あはは、そうね、その通りよ!ただし、この男は円卓というより食卓担当(※)だけどね!」
(※ 思い切り意訳。原文だと、紳士はArthur's Tableで質問してる。で、リネットは確かにアーサー王のテーブルを担当してるね、みたいな感じ)
さらにリネットはガレスに対し、
「私はアンタを認めませんからね、皿洗いごときが走り回って、森の悪漢を劇対したり、ツバをはくようなことをしたとしもね。
ふん、脱穀機を振り回したりなんかしちゃってさ。
イヤッ、アンタは厨房の匂いがするんだから近寄らないでよ。
でも、この紳士が私達に宿を貸してくれるのなら、付いて行きましょう」