人物列伝フロリマール

 

 

 

== 発音 ==

私が訳したテキストだと、Brandimarte

脇先生のも発音は「ブランディマルテ」になってましたが、なぜかブルフィンチの『シャルルマーニュ伝説』では「フロリマール」になってます。

ブルフィンチのが入手しやすいしなぁ、あと「ブラダマンテ」と区別つきにくいし、という理由により、本サイトでは「フロリマール」で表記していきます。

 

 

== 出自 ==

フロリマールは、モノドンテ王の長男。

モノダンテ王の領地というのがどこか分からないが、とりあえずオルガーニャとフランスの中間地点ですね。

王様の息子なのだから、当然に王子です。

だが、幼いころモノドンテ王に恨みを持っていたバルティノに誘拐され、シルヴァン・タワーに奴隷として売却される。

シルヴァン・タワーというのもどこか分からないです、管理人には。

脇先生の訳だと、「ロッカ・シルヴァーナ」になっていましたが、こっちも分かりません。

ただ、もともとがフロリマールはイスラム教徒だったので、シルヴァン・タワーとやらもイスラム文化圏ではないかと。

奴隷でつらい思いをしたようですが、そこの領主に気に入られ、気がついたら相続人にしてもらってたという…。

結構いい思いしているじゃないか!

 

 

== 戦歴 ==

ソブリノをして「第二の軍神マルス」と呼ばしめるもののツワモノ(『狂えるオルランド』3856行)。

ただ、よく見ると結構負けは多いです。

初登場(本サイト17章)でアストルフォと戦うものの、見事に敗北…。

いや、アストルフォは必ず相手を落馬させる「黄金の槍」という反則アイテム持ってましたから仕方ないです。

その次も魔法で操れるオルランドらと戦って捕虜になってます。

なんやかんやで捕虜になり、恋人のフロリドリがなんとかフロリマールを助け出そうと奔走する場面が多いような…。

ていうか、『狂えるオルランド』以降に顕著な傾向なのですが、どうも男が捕まって女が救出に奔走するパターンを良く見ます。ルッジェーロとブラダマンテとか。もっとも、ブラダマンテと違ってフロリドリは武力ないので大変ですが。

最大の武勲は、おそらくバリサルド戦です(本サイト27章)。

この戦いでは、あのオルランドすら打ちかましたバリサルドを勝負し、見事勝利を収めています。

著者の解説に寄れば、オルランドは邪悪なオリジッレに恋してたから負けたが、フロリマールはこう、一途だったから勝てた、みたいなことを言ってました。

そんなんで勝てるもんか、と思うのですがそうなんでしょう。

あと、冒険の成功率が結構高いです。グラダッソやルッジェーロが失敗した「笑いの川」の冒険ですが、フロリドリのアドバイスを聞き入れて成功してます。ついでに竜にキスしたりする勇気を見せて、ドリステッラに掛けられた魔法を解除してます。

そんな彼の最後の戦いは、アフリカにおける33の決闘でした。

アフリカ王アグラマンテ、その懐刀のソブリノ、セリカン王グラダッソの連合に対し、オルランドはフロリマールとオリヴィエを指名したのです。

異教徒チームはすでにマンドリカルドとかロドモンみたいな人外レベルがいないとはいえ、グラダッソあたりは作中屈指の剛の者。

これにあたるキリスト教徒代表としてオルランドがフロリマールを選ぶというのだから、彼の実力はかなり評価されていたのでしょう。

(ちなみに、ルッジェーロは改宗するちょっと前。リナルドはアフリカじゃなくフランスで戦ってた)

この戦いで、フロリマールはグラダッソの剣を受け、頭を割られて絶命しました。

 

 

== 魅力 ==

彼の最大の魅力は、強さよりその心根にある、と管理人は思います。

作中では、オリヴィエを差し置いてオルランドの親友です。ライクじゃなくて、ラヴって感じです。

ポジション的に、初期はイスラム教徒であり、リナルドやらみたいにパラディンじゃないのでシャルルマーニュの命令なんぞ関係ありません。そのため、命令無視しまくりのオルランドと一緒に各地を冒険するという、あるいみ都合のいいキャラ。

はっきり言って、この作品における管理人の一番好きなキャラです。

何組の恋人が出てくるのですが、フロリマールとフロリドリはかなりいい線いってます。

ブラダマンテとルッジェーロのカップルにも負けないくらい。

基本、お互いが一途で浮気とか一切なし。

グラダッソの剣を受け、瀕死の彼の最後のシーンを引用してみましょう

 

「ああ、オルランドよ、

神に祈りをささげる折には私のことを思い出すべし。

そしてまたよろしく頼む、私の愛しい

フィオルディ……」と、ここで事切れ、

「……リージ」とまでは言えずに終わった。

(脇功訳『狂えるオルランド』4214章)

 

発音上の都合でフロリドリの名前がフィオルデリージになってますが、フロリドリと同じ人物です。

死ぬ間際まで色恋かよ、と言う人もいるでしょうけれど、管理人は非常にこういうところ、好きです。

  

 

 

== 作中での活躍 ==

・オルランドたちを捜索するアストルフォと遭遇。試合をして敗退する。ただし、相手は必ず相手を落馬させる「金の槍」を所持してたので、負けてもそんなもん(本サイト17章)。

 

・忘却の川で、ドラゴンティナの魔法によって操られるオルランドらと遭遇し、戦闘。捕虜になる。相手がオルランドでは仕方がないですよね(本サイト17章)。

 

・アルブラッカの危機に援軍を求めてやってきたアンジェリカの指輪の力で魔法を解かれる(110章)。これ以降、オルランドとは親友で木ナポジションになる。ちなみに、フロリドリはリナルドにフロリマール救出を依頼してたが、まったくのすれ違いになってしまう。

 

・アルブラッカで、アンジェリカ側について、オルランドらとともにアグリカン軍と戦う。戦いのさなか、フロリドリと再開を果たす。(113章)。

 

・フロリドリが誘拐され、慟哭する。このとき、独白の形で出自を語る(114章)

 

・オルランドから、ブリリアドロを借りる(115章)。これの間、オルランドはバヤールに乗ってた。

 

・蛮人を殺してフロリドリと再開を果たすも、今度はオルランドたちとはぐれてしまう(116章)

 

・アルブラッカでオルランドと再会。このとき、オルランドの愛馬・ブリリアドロを引いてきた。バヤールが言うことを聞かず困ってたオルランドは、バヤールからブリリアドロに乗り換える(118章)。

 

・アンジェリカの命でオルガーニャの冒険にしたオルランドを追って、アルブラッカを出発(22章)

 

・気がつくと、モルガナの庭園で捕虜になってた。たぶん、門番のアリダノあたりに敗北したのではないかと思う。解放されると、オルランドとともにアルブラッカを目指す(26章)。

 

・オルランドですら打ち負かしたバリサルドと戦い、見事に勝利を挙げる。また、キリスト教に改宗後、オルランドの身代わりとして人質になる(27章)

 

・フロリマールがモノドンテ王の息子であると発覚(28章)。

 

・竜とキスをするなど勇気をみせ、ドリステッラに掛けられた魔法を解く冒険に成功(2巻)。

フロリドリが、リサの王、ドリスティン王の娘であると発覚。フロリドリと結婚式を挙げる。

 

・ビゼルタでアグラマンテの歓迎を受ける。

 

・戦場でロドモンと対戦。

 

・ヘクトルの武具を巡り争うグラダッソとマンドリカルドを仲裁。のち、ルッジェーロやグラダッソですら失敗した「笑いの川」の冒険に成功。

 

・アンジェリカを探すためにオルランドが失踪すると、彼を探しに出発。すぐ帰れると思ったため、フロリドリはフランス軍に置き去りにした(『狂えるオルランド』886行、以下すべて『狂えるオルランド』)

 

・いつの間にか、アトランテの魔法で屋敷に監禁されてた(12歌)。魔法に操られ、アストルフォを攻撃するも、魔法の角笛を音色に退散する(22歌)。

 

・リナルド、オルランドが不在の中、フランス軍相手に奮戦する(2733節)

 

・千の武具を集めようとするロドモンと狭い橋の上で決戦。水中戦で負けて捕虜になる(29歌)のち、ブラダマンテがロドモンに勝つことにより解放される。

 

・グラダッソの剣を受け、戦死(40歌)

 

 

 

 

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