人物列伝オルランド


 

== 発音 ==
フランス語では「Roland」で、日本語表記すると「ローラン」または「ロラン」。
フランス語は基本的に文末の子音は発音しないので、「d」は無視します。
イタリア語だと「Orlando」で、「オルランド」または「オルランドゥ」。
ぜんぜん発音が違うけど、頭の「R」を抜いて見るとそれなりに似てます。
ほら、三国志の「張飛」だって日本人は「ちょう・ひ」って発音するけど、現地じゃ「チャン・フェイ」って発音するじゃないですか。
国によって人物の名前が違うのはよくあることなのです。


== はじめに ==
一応、この項目では『恋するオルランド』および『狂えるオルランド』に登場するオルランドのことについて書きます。
イチイチこんな宣言をするのは、あまりにも両作品に登場するオルランドと、『ローランの歌』に登場するローランなる人物が違いすぎるためです。
簡単に言いますと、『ローランの歌』では、彼はプライドが無意味に高くて、脳ミソまで筋肉でできているかのように頭の悪い子になってます。
で、『恋するオルランド』や『狂えるオルランド』では脳ミソ筋肉なのは同じだけど、忠義よりも女を追っかけまわすことを優先するダメ男になってます。
このあまりに違いすぎる設定は、いろんなトコで突っ込まれているみたいです。


== 出自 ==
身分的には、シャルルマーニュの甥。
ブルフィンチ版によれば、シャルルマーニュの妹の息子、となってました。
アーサー王伝説で言うなら、アーサーの甥のガウェインみたいですね…、ていうか、基本的にパラディンはほとんどシャルルマーニュの甥なので、あまり「シャルルマーニュの甥」、という身分に希少価値はありません。
他のパラディンとかはフィクションの人物なのですが、オルランドについては歴史上のモデルがいます。
ロンスヴォーの戦いで戦死した、ブルターニュ辺境伯ローランとかいうのです。
学術的には、ウィキペディアでも読んでください。アレの初版を書いたのは管理人なので、ほとんど似通ったコトしか書けないし。

 

== 女性関係 ==
アンジェリカに惚れてシャルルマーニュの帰還命令無視したり、オリジッレに騙されたりと、わりと惚れっぽい。
女の尻を追っかけまわすだけならまだしも、別にアンジェリカ一筋じゃなくて脇見もするって、どうしようもないですな。
基本は騎士なので女性には優しく、頼まれれば相手が火縄銃だろうがオルクだろうが戦う。よく読んでもらえば分かりますが、女性の依頼を断る場面はない、と思う。
ですが、魔女相手には結構容赦なく、モルガナやらファレリーナは普通にぶちのめしてます。
あと、余談ですがオルランドは『恋する』の時点で嫁がいたっぽい
『恋するオルランド』の原文を忠実に訳したチャールズ・サンティ・ロスの英完訳版を読むと、1巻22節に「Alda, Count Orland's wife,」って文章があります。
これはアンジェリカが初登場するシーンで、私のサイトだと1巻1章なのですが、その場にいた女性キャラを全部出して、それより美しかった、ということを説明する場面なのです。
確か、『ローランの歌』でローランとオリヴィエの妹、オードは婚約段階じゃなかったけ…。
注意深く『狂えるオルランド』を読んでいると、オリヴィエに対し「オルランドの義理の兄弟」という表現が何箇所かあったので(40歌58節など)、『狂える』の方の設定でもオルランドに嫁がいる設定みたい。
『ローランの歌』は彼が戦死する直前の物語だから、時系列的には『恋する』→『狂える』→『ローランの歌』となるはずなんですが…。
細かいことは、気にしちゃいけないんでしょうかな。
つか、嫁がいるのにもかかわらずアンジェリカ追いかけてふらふらするってどういうことよ?
お前の嫁さんは泣いてるぞ。李莫愁やら阮星竹が耳にしたら、「女の敵、畜生にも劣る」とか言ってフランスまでオルランドを殺しに行くんじゃないのかと。
ところで、なんで管理人が英語完訳版を訳さず抄訳版を訳したかと言えば、完訳版は2004年に出たばかりで著作権が残ってるから。
完訳版のが表現が平易だしよっぽど楽だし面白いのが残念。
 


== 魅力 ==
彼の最大の魅力は、その強さでしょう。
竜だろうとスフィンクス(1巻4章)だろうと、立ちふさがる敵はことごとく倒していくというのは爽快感があります。
特に、『狂えるオルランド』におけるオルク退治は必見です。錨でタコ殴りにして、それから剣でバラバラにしてます。いや、あのルッジェーロがヒッポグリフやら魔法の盾を使ってもオルクの鱗を傷つけることすらできなかったことを考えると、力技でオルク退治をしたオルランドの化物っぷりが分かろうと言うものです(オルク戦はブリフィンチ版では省略)。
あと、不意打ちとはいえ、魔女ファレリーナやモルガナにも勝ってます。
なにしろ、足の裏以外は不死身で、皮膚はダイヤモンドと同じ硬さというのだから、尋常の方法ではオルランドを殺すことなどできはしません。魔法を使うか、寝込みを襲うか、そいう方法を使わなきゃ無理でしょうね。
一応、骨格や脳ミソは生身みたいなので、頭を強く叩かれればくらくらするみたいだし、棒で殴られて骨とか痛い(1巻4章、サイクロプスとの戦い)、というシーンはあるけれど、単純な腕力なども強い。『狂えるオルランド』では、素手で人間の首を引きちぎったりと、無茶苦茶な活躍をしてます。
「最強は誰か?」という問いがあれば、たぶんオルランドでしょう。
ルッジェーロも強いけど、重傷を負って勝つパターンが多いのに対し、オルランドはほぼ無傷で勝ってますから。
リナルドもいい線行ってるけど、アリダノやらに負けてるし。
おそらく、オルランドの明確な敗戦はバリサルダくらい。あとは、モルガナの庭園の分身する巨人に勝てなかったくらいでしょうか。
ていうか、バリサルダはどうやってオルランドに勝ったんだ…。記述が簡単すぎてよく分からんぞ。


== 作中での活躍 ==
『恋するオルランド』および『狂えるオルランド』は大きく分けて、@異教徒によるフランス侵攻、Aアンジェリカを巡る恋の鞘当、Bヘクトルの武具を巡る争い、Cクレルモン家の起源、という4つのテーマがあります。
オルランドの場合、A・Bでは最重要キャラだし、@についてもかなり重要キャラです。
そんなわけで、活躍度はきわめて大きい。しかも、行きずりでモンスター退治してみたり、その他冒険をしたり、さすがは主人公名だけあって、かなりの活躍ッぷり。
イチイチ書き出すと、膨大な量になります。
基本的に、行きずりで怪物退治をするか、アンジェリカあたりに命じられて魔女退治、というパターンが多いですね。
そして、『狂えるオルランド』では、恋に破れたオルランドは発狂したりします。
『狂える』は無限空間さんの『突っ込みルネッサンス』あたり読んでください。ブルフィンチ版をもとに面白おかしくまとめてある。


2010/08/30

 

 

 

back
 

inserted by FC2 system