7章 朝の情事
ある朝のこと、ふとした偶然からベイリンは宮廷の庭の木陰で休んでいた。
薔薇でできた道はドアからドアまで続き、百合の道は木陰まで続いている。
その薔薇の花の中、王妃はゆっくりと歩いてきた。
そして、反対の扉からシャドウ(まんま影でも可、ランスロットを指して信奉者・崇拝者でも可)が現れた。
この影はランスロット卿であり、王妃に会いにやって来たのである。
もし、このときベイリンがこれを見なければ、もし他のところに視線をやっていたならば、もし白百合でできた道が木陰まで続いていなかったならば…。
ベイリンは王妃の後を追いかけてしまい、王妃の会話を聞いてしまった。
「あなた、王妃である私にはちっとも忠実じゃないのね?
おはようの挨拶もなしに通り過ぎるなんて。」
ランスロットはうつむいたまま答えた。
「私は、貴方に忠実ですとも」
「ふうん」と王妃は言った。
「でも私の前は素通りするのね。陛下や皆の者が称賛している忠臣なんてたいしたことないわねえ。ねぇ、愛しいあなた。夢の中のようにしてちょうだいよ」
ランスロットは手を花の中に置きながら答えた。
「はい、夢ですか…。
昨夜、私はあそこの礼拝堂で、百合(ちなみに、百合は清純・純潔の象徴)とともにたっている乙女を見ました。
乙女の回りは暗闇で包まれ、光と言えば乙女の持つ神秘的な百合からの光が乙女の銀色(銀も知恵、純潔の象徴)に照らしていました。
見よ、これら乙女の象徴は私の目を覚ましました。
なんという純潔なんだろう。
激情はマルメロ(バラ科の落葉高木、花言葉は魅力、誘惑)の花に対して色を付けることはない。汚れのない処女性という魅力を損なわせるのだ。」
「ねぇ、あなた」と王妃は言った。
「庭の薔薇(花言葉は薔薇の色によって変わる。基本的に愛とかそういう系)はとても鮮やかで、とても多く咲いているわ!
ここの薔薇は、野生のヒヤシンス(花言葉は競技、遊戯)、5月の花(管理人は分からんが、なんかあるのかも)より綺麗だわ。
ねえ、あなた。私達はお花畑の中で一緒に楽しい時間を過ごしましたよね(原文、have ridden。直訳だと、乗りましたよね。馬で出かけましたよね。エロ話をしているのか分からないからこう訳した)
これほど楽しいことはなかったわ。
貴方は悲しんでいるの、具合が悪いの?なら、陛下はお医者様を派遣してくれるでしょう。
それとも、私に怒っているの?」
やがて、ランスロットは目を開けると、2人は夢うつつのまましばしそのばに留まった。
それから、2人が行ってしまうと、ベイリンは木陰から出て来て独白した。