3章 聖遺物とガーロンについて

 

 

こうしてベイリンは騎士団に入り、

ベイランとともに、これまで以上に幸せに過ごした。

だが、それも使者(1章のアレ)が宮廷に戻ってくるまでのことであった。

 

使者たちはこのような報告をした。

「陛下、我らはようやく見つけました。

藪に覆われ、薄暗い所にペラム王の、すなわち陛下が我らを派遣した人物の宮廷がありました。

ペラム王はかつて神をも信じない敵であり、馬に乗って戦い、打ち負かすこともありました。

陛下の王国を見たところ、神によって繁栄していますが、ペラム王のは聖なるものに対しての情熱は陛下に匹敵します。

 

そして、ペラム王は自分がアリマタヤのヨセフの子孫であると言うことに気づいたのです。アリマタヤのヨセフとは、海を越えて初めてブリタニアに偉大な教えを伝えた方であり、生涯を信仰に掛けたことでは陛下にも勝ることでしょう。

なにしろ、生命の鼓動を維持するのに足りる分だけの食事しかしないのです。

また、ヨセフは信心深い妻を遠ざけました。さらには

夫人、乙女などを門に入れませんでした。

これは女によって汚れるのを防ぐためです。

この老王(ペラム王)は、我らに神殿を見せてくれました。

これは不思議なもので…、豊かな聖櫃、貴重な殉教者の遺骨、イバラの王冠と銀の十字架などがありました。

それからペラム王が語るには、これらはアリマタヤのヨセフがここへ持ち込んだものだそうです。

さらにローマ人がキリストのわき腹を貫いたロンギヌスの槍をも持ち込んだという話です。

私達はとても驚きました。それから、我らが聖なるものへ賛辞をしようとしていると、ペラム王がこう、自慢しました。

『私はこの世の全てについて、かなり進歩しています。私の後継者、ガーロンがこれを要求するでしょう。』

それで、このガーロンは騒ぎを起し、陛下と、陛下の騎士を罵りました。

 

この後、我らが出発すると深い森の中で事件がおきました。

我らと行動していた陛下の騎士が後ろから攻撃を受けて、殺されたのです。

我らは殺された騎士を埋葬しました。

我らの中には、ガーロンの名を叫ぶものもいました。木こりの話では、この森の悪魔は、かつては人間だったというのです。

これが邪悪な呪文(陰口を叩かれて、の方が適切かも)により仲間から離れて、一人で暮らすようになり、さらには黒魔術を学ぶようになりました。

それから親切を憎み、この憎しみとともに彼が死んだとき、彼の魂は鬼となったのです。

この鬼が姿を消す魔法を使い、後ろから攻撃したのです。

木こりは洞穴に案内してくれました。

その洞穴は悪魔の住居で、そこから悪魔は出撃したのです。

我らは馬の蹄鉄の跡を発見しましたが、それ以上は見つけられませんでした。」

 

 

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