2章 兄弟の帰還

cap1

それから、ベイリンは起き上がり、ベイランもそうした。
近くを歌うように流れる水は兄弟を回復させた。
それから、影の向きが変わるまでの間、一言も喋らなかった。
 

近くの雑木林をざわめかせ、
きらきら輝く従者がやってきてこう叫んだ。
「騎士様、起きて、そして着いて着てください。王が卿らを御呼びです」
 

兄弟達は、着いて行った。そして、アーサー王は兄弟に尋ねた。
「君達の名前は何と言うのかね? どうして、泉の近くに座り込んでいたのかね?」
 

ベイリンはしばらく黙り込んでいたが、こう答えた。
「俺の名前は、陛下には心地く響かないでしょう。
ベイリンです。陛下からは"蛮人"の称号を授かりました。
隣は我が弟にして、俺より優れた騎士、ベイランです。
俺は、かつて陛下召使の頭を広間で殴りつけました。
俺は手甲(ガントレッド)がついていたのに、相手は兜を被っていなかったから、半殺しにしてしまいました。
その召使が俺の悪口を言っていると聞いたからです。
陛下の怒りに触れ、俺は3年間の追放されることになりました。
生活は苦しいものでした。
陛下の召使に暴力を振るった俺は、
頻繁に自分自身に対し怒りをぶつけることもありました。
ベイランの助けを受け、3年間は終了いたしました。
それはヨモギのように辛いものでした。
陛下、俺は兄弟で泉のそばに座り込み、
誰であれ、俺に対抗する拍車を付けた騎士を倒すのなら、
陛下が喜んで俺達を宮廷に戻して下さると考えたのです。
そして、俺を10倍したのより20倍も優れた
ベイランを騎士にしてくださると考えたのです。俺の言いたいことはこれで終わりで…
いえ、まだありました。今日の話ですが、陛下の騎士の誰かが、
俺達に敗北を味あわせ恥じ入らせ、俺の誇りを傷つけました。陛下はどうなされますか?」
 

アーサー王は答えた。
「君は真実を話しているね。
君のような荒武者は、私に対し嘘なんて付かないものだ。
立ちなさい、誠実な騎士よ。子供のように学び、
失敗から賢くなるのだ! 私と歩み、そして仲間の騎士、王とともに音楽に身を任せるのだ。
全ての同胞の悲しみとともに、君の席は空席のままだ。
席につき、再び我が騎士となるがよい!」

cap

それから、ベイリンが広間に入ったとき、
欠けた空席が埋ったことで、天国にいるかのよう迎えられ、
その炎は森の葉にとどき、陽気な花輪は壁を越えて床にまで飾られた。
兄弟が席に着くと乾杯がなされ、飲んだり、ある者は甘い声で、
歓迎の歌を歌った。それから声を揃えて親しんだ歌を歌い、馬に乗ると12の旗印を作り、かつてのように試合をした。
アーサーのホストはベイリンの優勝を宣言し、その日は勝利に終わった。

 

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