11章 激情剣士、非情剣
cap
だが、ガーロンはさげすむようにベイリンの理想を破壊することになるのだ。
朝、ベイリンは目覚めて宮廷に行くとそこでガーロンに出会った。
ガーロンは憎しみと嫌悪の感情から、ベイリンを嘲笑するためにすりよって来た。
「おい、まだ醜聞まみれの紋章を身に付けているのかよ?」
ベイリンの表情は真っ黒になり、額には静脈が浮き出た。そして剣を鞘から引き抜くと、
ベイリンの剣は兜をの上から強烈な一撃を加えた。刃はガーロンの体を切り裂くと、床石にあたりカチリと音をたてた。
ガーロンはゆっくりとよろめき、後ろに倒れた。
ベイリンは旗の近くにあった自分の兜をつかむと、叫びながら宮廷を逃げ出した。
この蛮行に、ペラム王の家臣たちは、槍をつかむと、ベイリンを追い掛けた。
ベイリンは先頭の男をぶん殴り、足に羽が生えたかのように薄暗い回廊を逃げ回った。
ついに、ベイリンはペラム王の宮廷の礼拝堂にたどりつくと、その中に逃げ込んだ。
その中で、ベイリンは追っ手が狼のように叫んでいるのを聞いた。
ベイリンは、その礼拝堂で隠されてる聖遺物を見つけることになった。
金色の祭壇の前に1本の槍が横たわっている。その槍は、これまで見たこともないほど長く、鋭く、真紅に塗られていた。
その槍を手に取ると、窓を開け、半円を描くように跳躍した。
ベイリンは、壁の向こうで自分を捜索する追っ手の声を聞きながら走り、小道の向こうに自分の軍馬を発見すると、騎乗して逃げ去った。
矢は左右、そして頭上を飛び回る。
べラム王は泣き声をあげた。
「待て、待つのだ!
あの男は聖なるモノを汚したのだ…。
だが、数マイル進んだところで、あの男の馬は疲れ果ててオークの木につまずき、あの男は顔面から地面に激突するだろう。」
ペラム王の言うとおり、落馬したベイリンは怒り半分、そして騎士らしい寛容さ半分で、愛馬に傷害がないことを確認した。
ベイリンは首に下げていた、王妃の紋章入りの盾を外した。
(俺は貴女を辱めたが、貴女も俺を辱めた。
これ以上、貴女の紋章を身に付けることはないだろう)
そして盾を吊り下げると、薄暗い森の中に突き進んで言った。
「俺の蛮性がッ、蛮性がッ!」と叫びながら。