1章 アルスレッドの戦い

 

 

幾人も王の治世の下、幾年もの月日が流れ、ブリトンのマーリンは世界中で著名な人物となった。

マーリンは王にして予言者であった。マーリンが法律を与えた西ウェールズでは誇りに思われているし、族長に対しては未来を予言して見せた。

王国の内でいくつかの部族が抗争を始めると(明言はないが、アルスレッドの戦い)、激しい戦いによって都市の至る所で罪なき人々が苦しめられることになった。

北ウェールズ王・ペレドゥル(Peredur、注4)はスコットランドの支配者、グエンドロウ(Gwnddoleu)との間で戦いを引き起こした。

戦いの日が間近に迫ると、指導者達は準備を整え、軍隊は虐殺者と化してお互いの敵に襲いかかった。

マーリンは野蛮な性格の2人の王、すなわちペレドゥル王、カンブリアの王ラゼルフ(Rhydderch)と戦場を訪れた。

兵士たちは忌まわしき剣でもってお互いに殺しあう。そして、ペレドゥルの後についてやって来た3人の王子たちも戦い、そして斬り殺し、戦線をかき乱した。それから、彼らは込み合ったところに突撃し、殺しまくった。この光景をみて、マーリンは悲しみにくれ、軍に対し不満を持つとこう言った。

 

 

「悲しき運命は俺からどれだけの仲間を奪い去るのだろう…。最近、多くの王と遠くの王国が恐れたことだろう?あぁ、人間なんて信じられない。あぁ、死は常に力強く不意に攻撃し、哀れな身体から命を抜き取るのだ!あぁ、素晴らしき若者よ、今は武装して俺のそばにいるだろう若者は俺に襲いかかる族長と群衆から守ってくれるだろうか?勇敢な若者よ、君の勇敢さゆえに、君達から楽しき日々と青年期の喜びを失ったのだ!さきほど敵軍の中に突撃して戦った君は、いま地面を血で赤く染めているじゃないか!」

 

 

絶え間なく戦う軍勢の中で、マーリンは涙を流して死者たちを嘆いた。軍は互いに突撃し、敵はその敵によって殺され、いたるところに血は流れ、両陣営で人々が死んでいった。しかし、ついにブリトン人は全ての兵舎から軍を掻き集め、スコットランド人を倒し、傷つけた。そのさい、スコットランドの大軍が撤退し、辺境に逃げ去るまで休むことなく戦い続けたのだった

 

 

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